材料・材質
アルミニウム (Aluminium、Al)系
鉄やステンレスに比べ比重が軽い材質です。強度があり、加工性、耐食性、伝導性等に優れています。1円硬貨や、飲料水のアルミ缶など身近なところでも使用されています。
A1050
純度99.5%以上の純アルミニウム系合金で軟質です。耐食性は1000系の中では中ぐらいに位置します。
A1100
純度99%以上の純アルミニウム系合金で軟質です。A1050に比べ粒子が細かく、微量のCuが添加されており、アルマイトなどの表面処理性に優れています。
A5052
マグネシウム系合金の中で最も代表的な鋼種で耐食性、溶接性、成形性に優れています。非熱処理型合金で強度があり、耐食性・成型加工性に優れています。
A5005
耐食性、溶接性とともに加工性にも優れています。5000系の中では比較的マグネシウムの添加量が少ないため、強度は低めです。
A5083
5000系の中でもマグネシウム添加量が多く、最も高い強度をもつ材質です。耐食性と溶接性ともに優れており、車両、化学プラントなどに使用されることもあります。
鉄 (Fe)系
SPCC(冷間圧延鋼板)
ミガキ(JISでは、みがき)材、冷延材とも呼ばれる一般的な鋼板です。加工後は通常錆が発生しますので何らかの加工か処理が必要です。最も一般的に使用されている材料です。
SPHC(熱間圧延軟鋼材)
高温状態で圧延する鋼板です。酸化により黒皮・スケールと言われる酸化膜が付着した別名、黒皮材や表面を酸洗処理したSPHC-Pがあります。
SECC・SEHC(例 ボンデ®鋼板※1)
電気を利用して亜鉛めっき処理された鋼板のことです。めっき層は薄く均一にめっきができるため加工性・塗膜の付着が良く、耐食性にも優れています。ボンデ®鋼板※1は、このカテゴリーに含まれます。
SGCC・SGHC
高温の亜鉛の中につけて亜鉛めっき処理された鋼材のことです。めっき層が厚く耐食性に優れ素地のまま使われることもあります。
溶融55%アルミニウム‐亜鉛めっき鋼板(例 ガルバリウム鋼板®※1)
めっきの成分に、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、および、シリコン1.6%が含まれる、アルミ亜鉛めっき鋼板です。アルミニウムと亜鉛両方の特性を有しており、耐食性、犠牲防食性に優れていることが特徴です。ガルバリウム鋼板®※1は、このカテゴリーに属します。溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム-めっき鋼板
溶融亜鉛にアルミニウム・マグネシウムを加えて、合金をめっき処理した耐食性に優れている鋼板です。優れた耐食性を示すことから、後めっき処理の代替えや後塗装の省略ができ、また、アルミニウム、ステンレスの代替え鋼種としても利用されています。 スーパーダイマ®(注)、ZAM®はこのカテゴリーに含まれます。※(注)「スーパーダイマ」は日本製鉄株式会社の高耐食性めっき鋼板の商品名です。
※1)「ZAM®」は日本製鉄株式会社の登録商標です。 2)「ZAM®」は日本製鉄株式会社が開発した溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板の商品名です。高張力鋼板
一般構造用鋼材よりも強度を持つ鋼材のことです。従来の鋼材よりも強度があり、板厚を薄くしても強度が保てるため軽量化が図りやすい材料です。ハイテンと呼ばれることもあります。
一般構造用圧延鋼材
一般的にSS材と呼ばれ、SSに続く数字で引張強さの下限値を表します。
SUS (steel use stainless、ステンレス)系
クロムの含有量が約10.5%以上の鋼をステンレス鋼(stainless steel)といいます。含有成分により、フェライト系、オーステナイト系、マルテンサイト系、オーステナイト・フェライト二層系および析出硬化系に分類されています。
SUS304
最も代表的なステンレス鋼で18%Crと8%Niが主要成分です。耐食性に優れており機械的性質も良好です。
SUS304L
SUS304より炭素の含有量を減らした極低炭素鋼です。耐粒界腐食性に優れており、溶接後に熱処理できない部品類にも使われています。
SUS316
SUS304にモリブデンを加えて海水や各種媒質への耐食性を向上させたものです。海水ポンプ、配管部材、船舶部品、バルブなどの材料にも使用されています。
SUS316L
SUS316より炭素の含有量を減らした極低炭素鋼です。耐粒界腐食性に優れており、溶接後に熱処理できない部品類にも使われています。
SUS430
広く使用されている汎用のステンレス鋼で、クロムを18%含有しています。18クロムステンレスとも呼ばれ、建築内装用、家庭用器具、家電部品、厨房機器などに使用されています。また、磁性があります。
SUS表面仕上げ (No.1、2D、2B、BA、#400、HL)
No. 1
つや消しの白っぽい光沢のない表面仕上げになります。熱間圧延後、熱処理、酸洗を行い汚れ等を取り除いたものです。2D
にぶい灰色の鈍い光沢の表面仕上げになります。冷間圧延後、焼鈍、酸洗を行い、軽く冷間圧延を施したものです。
2B
2D仕上げにくらべなめらかでもっとも一般的な表面仕上げです。適度な光沢を得られるように調整圧延を施しています。一般用材、建材に使われ、市販品の大部分はこの仕上げ品となります。
BA
鏡面に近いきれいな光沢のある仕上げになります。冷間圧延後、光輝焼鈍処理を行い、さらに光沢をあげるため調整圧延を施したものです。自動車部品、家電製品、厨房用品、装飾用に用いられています。
#400
BAに近い光沢をもった表面仕上げになります。2B材に粒度400番バフを使用して研磨仕上げしたものです。建材、厨房用品が代表的な用途です。
HL(ヘアライン)
長く連続した研磨目をもった表面仕上げになります。適度な粒度の研磨ベルトを使用して細長く連続した研磨目をつけたものです。建材の最も一般的な仕上げ方法です。
耐熱鋼
高温環境での使用時における強度、耐食性を高めた合金鋼です。合金元素を含み、その組織によって、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、および析出硬化系の4つに分類されます。SUH409
クロム系ステンレス鋼のうちフェライト系の耐熱鋼板でチタンを含んだ規格になります。加工性、溶接性が類似鋼種に比べると優れています。排気系部品・熱交換器等耐酸化性が必要な部分に使用されています。
その他材料
チタン
比重が鉄の約半分程度ですが、強度は鋼に匹敵します。優れた耐食性を有しており、特に海水に関しては白金と同等レベルです。
アルミ樹脂複合板
芯材となる樹脂をアルミ面材にてサンドイッチした材料のことであり、芯材が樹脂のため同じ板厚のアルミニウム材に比べ軽量です。防火性芯材を使用することで不燃材料の認定を取得しているものもあります。
ポリカーボネート樹脂
ガラスと同等の透明性を備えた熱可塑性樹脂の代表的樹脂です。透明性、アクリルの約40倍の耐衝撃性を有し、このほか、高温・低温耐性や難燃性にも優れた材料です。
グラスウール
ガラス繊維を綿状に加工した素材です。綿状の特性により、断熱性、吸音性に優れています。特に建材分野では、断熱材や吸音材として幅広い用途で使用されています。