弊社は、国立大学法人山口大学大学院創成科学研究科の祐村惠彦(ゆうむら しげひこ)教授と「細胞・基質接着制限領域内での細胞の行動」について共同研究を推進しております。
本研究は同研究室の最終ゴールのひとつである「細胞挙動の制御」についての知見を得ることを目的としたものです。具体的には、細胞が表面に接着できないように加工した基質上に接着可能な微小領域を作成し、この特定の形状を維持した領域内に閉じ込めた複数の細胞の行動を観察することでその特性を解析します。
同微小領域の作成において、弊社が独自に開発したメカニカルな微細孔を有するマイクロカット・フォイル材を活用することで必要な形状を得ることが可能となりました。この共同研究内容は2020年6月9日より開催された「第72回日本細胞生物学会大会※」にて報告されました。
(※本年は新型コロナウィルス感染拡大の影響によりウェブサイト上でのPDFをベースとした形で開催)
細胞の集団運動は、生体内において形態形成時や損傷治癒のための傷口へ移動、癌細胞の原発巣から浸潤、転移するときなどに観察されており、本研究により集団細胞運動を理解することでその知見を将来的に制御のレベルに供することが可能になると考えられます。
孔にはいろいろな機能があリ、これらを最先端の研究をされておられる方々の課題を解決するために有効な技術のひとつとして検討いただけるよう、今後も努めてまいります。
動画1. 複数の接着可能領域(直径100 μm円内)に細胞性粘菌を配置した様子
※測定時間:60分
動画2. 接着可能領域(直径 200μm円内)に細胞を閉じ込め細胞運動の軌跡を調べている様子
※スケールバー:100 μm、測定時間:60分
写真1. 各種トランプデザインの接着可能領域(横幅 約600 μm)にサル由来COS1細胞を配置したもの
写真2. 基材表面加工用マスク:1辺200 μmの角丸四角形(松陽産業製マイクロカット・フォイルを使用)
写真3. 加工後の基材の非接着領域を染色したもの (濃色の部分が接着領域)
《日本細胞生物学会》
- 日本細胞生物学会は、生命の基本単位である細胞について研究する者の集まりとして1950年(昭和25年)に発足し、細胞生物学をキーワードに、医学・理学・工学・薬学など幅広い分野の研究者が集まったもの
- 細胞生物学分野の研究成果の公開、情報共有を行うことで、細胞生物学の発展に貢献することを目的とする。(同学会Webページより弊社要約)
《開催された今回の大会の概要(コロナによる影響も含めて)》
- 会期:2020年6月9日から6月11日の3日間
- 新型コロナウィルス感染拡大の影響からウェブ(PDF)を活用する形で開催
<本情報に関するお問い合わせ先>
松陽産業株式会社(岡山事業所) R&D部 先進技術開発チーム
〒719-3813 岡山県新見市哲西町八鳥138-45 上室工業団地
お問い合わせフォーム(松陽産業コーポレートサイト): https://www.shoyo-sangyo.co.jp/contact
<参考情報>
国立大学法人山口大学 (http://www.yamaguchi-u.ac.jp/)
1815年(文化12年)、長州藩藩士・上田鳳陽によって創設された私塾・山口講堂を前身とし、明治・大正期の学制を経て、1949年(昭和24年)には、平和と繁栄を願い、地域における高等教育および学問研究の中核たる新制大学として創設された。そして2004年(平成16年)、国立大学法人山口大学が設置する国立大学となる。(同大学ウェブサイトより弊社要約)
国立大学法人山口大学大学院創成科学研究科 祐村研究室(http://web.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~nenkin/top.html)
細胞性粘菌 Dictyostelium discoideumを主な研究対象としている。細胞性粘菌はさまざまな細胞のモデルとして世界でも有名で、研究成果は医療関係の研究にも大きく貢献している。(同研究室ウェブサイトより弊社要約)
松陽産業株式会社 (https://www.shoyo-sangyo.co.jp)
1967年設立。金属を主体とした素材にプレス金型で孔あけ加工するパンチングメタルメーカーでの日本最大手※で、第52期(2018年8月~2019年7月)の売上は4,382百万円。本社(大阪市中央区;関西営業所含む)、千葉事業所(千葉県船橋市;関東営業所含む)、岡山事業所(岡山県新見市;岡山工場含む)、群馬事業所(群馬県太田市;群馬工場含む)の合計4拠点。パンチングメタルを用いた産業用の遮音・吸音パネル、交通機関用部材や部品、各種フィルターや意匠性の高い建築用のパネル・エンボス材などを製造販売。国内の国際空港や、大型ドーム、大型駅構造(天井部)、商業ビル壁面にもデザインや吸音特性を有する商品が採用されている。
※ 株式会社帝国データバンク調べ(2018/09/21時点)「パンチング加工を行っている企業の最新期売上高」
マイクロカット・フォイル
アルミニウムなどの金属箔やポリイミドやPETなどのフィルムに直径100~200 μm(0.1~0.2 mm)の孔をメカニカルな方法であけたもの。メカニカルな方法であるにもかかわらず加工油を用いず、一般的な微細孔の開孔技術であるレーザーによる方法で問題となるスパッタがないため箔の表面状態をある程度保っており、また、化学的エッチングのように薬剤を使わないなどのメリットがある。金属箔として、アルミ、銅、チタン、ステンレスの、また、樹脂フィルムとして、ポリイミド、PET(着色や蒸着などの表面加工品を含む)の加工実績がある。
(関連情報⇒
https://www.shoyo-sangyo.co.jp/wp-content/uploads/2018/06/SHOYO-MCF-20180620VF2.pdf
https://www.shoyo-sangyo.co.jp/topics/1922、https:/www.shoyo-sangyo.co.jp/topics/1773)
パンチングメタル
パンチングメタルとは、金属を主体とした素材をプレス金型で孔あけ加工したもので、鉄やステンレス、アルミなど幅広い素材に開孔することが可能。金属の持つ特徴はそのままで、軽量化、遮音・吸音、遮光・採光、通気・通風、装飾・デザイン、濾過・拡散、熱伝導・放射などの効果が得られる。
(誰でもわかるパンチングメタル⇒ https://www.shoyo-sangyo.co.jp/guide_punching_metal)
<追加情報>
- 本トピックスの内容につきまして以下のメディアに取り上げていただきました。
・鉄鋼新聞 2020年7月3日版 第3面(鉄鋼)
・山陽新聞 2020年8月30日版 第7面(経済)「ひと 交差点」 - 本トピックスの動画を含む4種の動画を弊社YouTubeチャンネルでご覧いただけます。
YouTube 松陽産業公式チャンネル
以 上